セムコ社は、参加型の文化をどのように導入したのか?
2018.11.30
セムコ社は、参加型の文化をどのように導入したのか?
How Semco Introduced It’s Participatory Culture
大企業では多くの場合、従業員は重要な業務を取り上げられたように感じています。
彼らは日々の仕事と業務は持っていますが、より大きなものの達成にことさら努力するほどのやる気を感じたり、
権限を与えられているとは、感じていません。
企業の意思決定権は通常、権限の共有を好まない、極めて少数の人々に委ねられているからです。
マネージャーは、従業員は重要な意思決定をするのに十分な準備ができていないと感じることがよくあります。
従業員は権限を与えることによってのみ、権限を与えられていると感じ、
主体性を持って意思決定をしようとするということに、セムコ社は気付きました。
この実行が決定された時、マネジャーや上司をプロセスに関与させませんでした。
そうした人々は最初に反対することを、知っていたからです。
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小さな方法で参加への道を開く
Opening Up Participation In Small Ways
彼らは、従業員の階層にかかわらず誰もが関与できる状況を想定することにしました。
もちろんこれは達成に向けて大きな課題でしたが、上層部が喜んで努力し、実現しました。
彼らは、極めて形式ばった組織的なプログラムを作りトップダウン方式で実行するのではなく、
職場で現実に起こるあらゆる機会を見つめ、一定レベルの参加型の意思決定を加え、ボトムアップの決定を促すことにしたのです。
彼らはまた、非常に簡単なことから始めることを決めました。
セムコ社は元来製造会社であり、従業員の大半が工場従業員だったからです。
よって、プログラムを開始するには、非常にシンプルである必要がありました。
そして、この小さな努力によって彼らが得た結果は、信じられないものでした。
以下の事例から得られる重要な教訓は、
従業員は挑戦が好きで、会社で「働く」人というより、むしろ「パートナー」のように感じたい、ということです。
意思決定に彼らを関与させることは、従業員が平等に扱われ、より良いことをしたいと意欲を感じるという点で、
会社を開かれたものにします。
彼らは自分の意見が重要であることを理解しており、ゆえに、会社のために答えを見出す過程で成長するのです。
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ケーススタディ1:セムコ社初のカフェテリア委員会
会社が意思決定プロセスを委任し始めた時、SEMCO社の人事部門のクロビス・ボジキアンは現役の社員でした。
義務と規則の場所から、喜びと大きくポジティブなエネルギーを持つ場所へと職場を大転換することに、
当時大きな関心があったことを思い出します。
ボジキアンは、彼も気づいていたことをリカルド・セムラーが指摘したことを覚えています:「従業員は、ぺしゃんこになった感じでここに来るね-まるで重荷を背負っているかのように。席に着き、昼食の時間までの時間を数え、その後退社までの時間を数えている。そして退社するとき、それは終わる。私は何も感じられない。こうした従業員は、彼らが与えている以上のものを、もっと持っていると思う。だから、我々はこの状況を変え、逆転させる方法を見つける必要がある」 そうリカルドは観察していたのです。
彼は、誰かに動機を与えることはできないと感じています。それが実現する唯一の方法は、内から湧き出た場合です。「動機を持続させなければならないなら、それは心の中から生まれてくる必要がある」と彼は言います。これを認識した上で、セムコ社は人々が意欲を感じることのできる空間を作り始めました。 「そして、私たちは次のことを確立することに決めたのです:毎日の状況を楽しみ、参加することを練習してみよう。簡単なことから始めよう 」 と、ボジキアンは言います。
意思決定に携わるほとんどの従業員が工場で働いたため、シンプルさが重要でした。
「工場階の労働者については、すべてが実行可能でなければなりませんでした」と彼は言い、
まずは単純な問題を利用することにした、と付け加えました。
問題の1つが、カフェテリアについて人事部が繰り返し受けていた苦情でした。
彼らは問題解決に努力してはいたものの、人々が好まない食べ物について、大量の苦情リストがありました。
人事部は、カフェテリアに関する苦情の処理に飽き飽きし、次に誰かが何か不満を述べたら、人事部はもう問題の解決を約束しないことが決定されました。
代わりに、ボジキアンは、苦情を言いに来た従業員に、物事を改善するための提案は何か尋ねました。
苦情を申立てた従業員は、何も言わなかったので、従業員のグループが結成され、アイデアを求められました。
彼らは、自分たちがカフェテリアを営業するなら実行するであろう計画を提出するよう、依頼されました。
数日が経ち、いくつかの議論が行われた後、従業員グループは、ある計画を携えてボジキアンの元に戻ってきました。
しかし、彼は提案を修正するように要請しました。
カフェテリアのキッチンスタッフの意見が、一切含まれていなかったためです。
そのグループは、数名のキッチンスタッフを関与させ、極めて順調に実行しうる計画を持って、ボジキアンの元にやって来ました。
彼がgoサインを出した時、彼らは驚きました。
「セムコ社の最初のカフェテリア委員会に彼らが関与し、そのカフェテリアを1年間運営することを、私は彼らに言いました。そして、1年以内に、我々は別の委員会を選ぶ計画を立てたのです」と彼は言います。
それ以来、セムコ社は二度と、会社のカフェテリアを運営しませんでした。
毎年新しい従業員委員会が選出されたからです。
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ケーススタディ2:祝日と祝日(休日)に挟まれた日を有給休暇にする仕組み
不公平なことですが、いつ旅行し、有休を相殺できるか、マネージャーとコーディネーターは正確に知っていました。
たとえば、イースター休日が近づき、休日と週末の間に金曜日があるとします。
彼らは金曜日を有休にし、旅行を計画し、2週間後のある土曜日に当該有休分を相殺するのです。
それは、彼ら個人のカレンダーで事前に計画され、実際に休暇を取る数日前になってやっと、チームに通知されました。
つまり、従業員はこれに同意し、マネジャーに割り当てられた特定の土曜日と相殺する以外に、余地や選択肢はなかったのです。
この種のトップダウンの決定は、2種類の問題を生みました:
従業員はギリギリになって知らされるため、自身が計画を立てたり、その休暇を利用して、旅行に出かけたり物事を済ますことができませんでした。
2つ目の問題は、彼らが家族、宗教、社会的な約束を持っていたため、(マネジャーに命じられて)土曜日に働くことを嫌っていたことです。
これは、従業員と管理職の間に多くの緊張を生みました。
ある日、マネジャーは全従業員を集め、この状況にどう対処するかを尋ねました。
従業員は、解決策を見出すことを自分たちに委ねるよう、頼みました。
その後、従業員は自分たちで、また人事部門と協議し、こうした祝日と祝日(または休日)に挟まれた日を相殺するための仕組みを策定しました。
この中には、彼らは以前のように毎週土曜日に働く必要はなく、祝日と祝日(または休日)に挟まれた日を有休にし、6年の間に相殺することが、記されていました。
この仕組みは、こうした日を相殺するために6年間を従業員に与えるとともに、報酬に関しても影響がありました。異なる年には異なる数の休日が存在することを、考慮したのです。
これにより、従業員は発生年度内に相殺し、年度末までにならすことができるのです。
しかし、翌年度に繰り越す必要のある2日が存在する場合、これを実施する余地が、新しい仕組みにはありました。よって、従業員は人事部からの見解を携え、この共同決定された解決策を提案したのです。
この仕組みを履行するやいなや、こうした相殺日にかかる問題や苦情は、一切出されなくなりました。
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ケーススタディ3:制服の民主主義
セムコ社はある時、制服の在庫が非常に少なく、新しい制服を注文する必要があることに気付きました。
しかし今回は、発注前に、従業員に制服が好きかどうか、彼らの望む制服の色などを尋ねる良い機会だと、会社の上層部は考えました。
そこで、彼らは以下の質問によるアンケートを作成しました:
1. 今の制服を使いたいですか?
2. 好きな色は何ですか?
3. 好きなモデルは何ですか?
彼らは、工場の壁にさまざまな制服のサンプルを示し、人々の判断を促しました。
セムコ社の5つの工場の全従業員が、何かに投票したのは初めてであり、何かのために人生で初めて投票した従業員もいました。
故に、それは従業員にとって、極めて重要な瞬間でした。
投票後、従業員の98%が現在の制服を使いたいことが明らかになりました。
しかし、色については、明確なコンセンサスが得られませんでした。
すべての色の選択肢に、異なる数の票が投じられたのです。
制服はただ一つの色でなければならず、工場内で虹色はありえなかったため、複雑でした。
彼らはどうにかして一つの色に落ち着く必要があったのです。
「最も人気のある2つの色をとり、この2色の間でもう1度投票してはどうですか?」
と提案したのは、従業員でした。
今度は81%が1つの色に投票し、問題は解決されました。
この選択権の行使は、事業に全く関係がありませんでした。
制服の色は、最終損益に何ら違いを生まないからです。
しかし、そのプロセスは、従業員と会社にとって非常に重要でした。
なぜなら、真の民主主義のように権限と行使する投票権を持ち、
毎日使用する物について発言する権利があるのだと、人々が感じたためです。
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従業員をパートナーに変える
従業員は、継続的に会社に最善を尽くすよう、権限を与えられていると感じる必要があります。
これは、ワークショップや講義だけでは起こりえず、
会社にとって自分たちは重要なのだと彼らに感じさせることによって実現できます。
意見を表明し、意思決定プロセスに関与する余地があれば、彼らは自らがビジネスのパートナーであるように感じ、それに対し、より関心を持つのです。
これは、組織が、誰もが重要な意思決定に関与する余地を提供する、
ポジティブで透明な場所であるよう、徹底することになります。
結果、従業員はより良い者になり、成長し、より大きな目標を達成したい、
との決意を持って熱心に取り組むようになるのです。