プロフェッショナルな自立型組織はどう作られているのか?(Niverplast後編)

2019.12.02

前編に続いて、Niverplastがどんな組織なのか?のプレゼンテーションを聞いた内容を共有します。

まずこちらの副題が、

“SAME GOAL, SAME AMBITION AND SAME DEDICATION IN IMPROVING YOUR BUSSINESS TOGETHER”

(同じゴール、野望、献身。あなたのビジネスを共に改善することにおいて)

とあります。

この表現からも顧客に意図が向いていて、チーム一体となっていることが感じられます。

その上で、「我々は、幸せな社員(同僚)が幸せな顧客を創ると確信しています」と一言目に始まります。

 

ESがCSをつくる。とはよく言われることですが、「我々はそれを確信している」と宣言しているところに力強さを感じます。

 

そして、

「これは、あなたが、仕事に関心があり、チャレンジを見つけ、責任を感じ、自立しているから可能になる。」

「その時のみ、新しいことを学び次のステップへ行き、あなた自身を発展させ続けられる。」

と言います。

この1枚のスライドに、この会社の中で自分がどうあらねばならないのか、凝縮されて表現されていることを感じました。

 

自立したプロフェッショナルが集まっていることを感じます。

 

この会社の採用プロセスはとても厳しいらしい!

現在170名の社員がいますが、人の採用は基本的にリファーラルしか行っておらず、毎月行われる社員のバーベキューの集いの時などで声がけするそうです。

そして採用の際は工場を見学したり、一緒に働くことになるチームのメンバー全員と話をします。その上で、チームメンバーの6人ぐらいのグループ面接もして決定するようです。希望している仕事に関わらない人は採用プロセスには関わらず、採用判断は自分たちで行うセルフマネジメント型になっています。

現場のチームが採用判断をして、採用責任者のような人は不在。会社として管理部と呼ばれる役割の人は2名だそうです。

管理部の人数が少ないのは、自立分散型の経営スタイルの現れのようですね。

 

私たちにはマネージャーはいない。組織の進化形!

続けて、「We」のスライドの説明を受けました。

私たちは、

・マネージャーを持ちません

→ 各チームにリーダーシップを発揮する人はいますが、自然発生的にリーダーが存在し、特定の肩書きとして存在するわけではないそうです。今後もマネージャーを置くことはしないと創業者は言っていました。社員を特定の人がマネージすることは弊害でしかない。というようなことも言っていました。

 

・オープンで透明です

→ やはり会社の財務状況は誰でもアクセスできるそうです。働く人々のマインドもオープンマインドでフレンドリーな雰囲気でした。

 

・個人個人を愛し、誰にでも平等にコンタクトできます

→ 設計、製造、営業、マーケティングなど役割分担はありますが、組織階層はなく、社長でも誰でも、どうコンタクトしてもOKだそうです。顧客との関係性もとても良好でフレンドリーだそうです。

 

・継続的に変化します

→ 常に製品の改良を実験しているそうです。顧客からの難しい要求に対して解決策を考えることを目的にした子会社、その名も「Solution」というものが社員発案でできたそうです。機械の部品を外部に発注していたそうですが、品質等に満足できないため、自社に工場を構え、今は自前で部品を加工する施設も創ったそうです。それも社員の発案だそうです。

 

・才能開発を真剣に行います

→ 定例のスタンドアップミーティング、バーベキューなど、相互のコミュニケーションの機会はたくさんあるようでした。

 

・顧客が完全に満足した時のみ最後の10%の支払いをします

→ 満足しなければ売上の90%の支払いになるので、会社としては利益率10%を顧客が完全に満足しないと受け取れないことになります。すごい仕組みです。

 

など。

 

創業者の方とも食堂でいろいろお話ししましたが、とても信念の強い方だと感じました。経営者自身のコミットが、このような自立型の組織を可能にするということを感じました!

 

 

自立型組織は、顧客への価値を最大化するためにある!

 

「全社員のベクトルが顧客に向いており、お互い対等であり、相互に協力し合い、必要な管理・改善・イノベーションを自ら行なっている」

そういう組織体が、自立型組織の定義である。

社員に任せて、自由になんでもやっていい。というのは誤解でしかない。

と体験を通じて、改めて感じました。

 

日本に帰ったら、ここで体験したことをこちらのセミナーでも詳しくお話したいと思います。

 

ライター:Yusuke Nagai

  

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自由と責任ある自立型組織の目的は、顧客のためにある! (Niverplast前編)

「ティール組織」の中で出てくるような、階層型組織ではない、自立型組織(セルフマネジメント型組織)が進んでいる企業への訪問を5社して、共通して大きな特徴があること体験しました。

 

・彼らは仕事(=顧客への価値提供)をとても楽しんでいる!

・顧客からの難しい要望をクリアすることを喜びに感じている

・彼らはチームで一丸となって仕事をしている

 

現場の各チームが自分たちで適切な管理と創意工夫をできるような環境を経営陣は作っている。いわゆる、社員を管理したり、マネジメントするというものはそれらを阻害させるものと捉えている。

 

どこの企業も、共通して「社員が自らの意思で、顧客にもっと価値を届ける」ために、組織をセルフマネジメント型にしていたという気づきがありました。

 

オランダのすごい製造会社を訪問!

 

アムステルダムから車で約2時間行ったところにある、Niverplastという会社を訪問した体験を共有します。創業30年で、社員170名、売上60億円ぐらいの、食品パッケージ機を造っている製造業の会社です。

「こんな工場なら働いてみたい!」と思うほど、建物のデザインが素敵で、「この人たちと一緒に働きたい!」と感じるぐらい、どの人たちも笑顔で、感じがよく、手を振ってくれたり、とてもよいエネルギーを感じました。

 

※一緒に連れて行った4歳の息子も、「あそこで仕事したい」と次の日になっても言っていたほど。子供は感性が高く素直なので、感じるんですね。

WEBサイト

https://www.niverplast.com/

会社Movie(1分50秒)

https://vimeo.com/255056416

 

WEBサイトやムービーからも感じられますが、従来の工場の堅いイメージはなく、会社全体がwe workのような、素敵な職場になっており、組み立て現場・設計事務所・社員食堂・Playルーム・トイレ・バーベキュー施設などどれも最高の環境でした。

顧客の9割が海外!情熱がすごい!

ツアーで行った我々一同、食堂に集まり、創業者の息子さん(現社長)の会社案内のプレゼンテーションを聞きました。

プレゼンテーションの冒頭が、まず「Our Passion(我々の情熱)」から始まります。

書いてあることを日本語にすると、

我々の情熱:

情熱的で、プロフェッショナルで、質の高いチームが、あなた(顧客)と共に、ハイクオリティで、イノベイティブで、オペレーションが簡単でユニークな梱包ソリューションを提供し、ビジネスを改善します。

私たちは、最も低いトータルコストと、100%の満足を保証します。

あなたは、私たちと同じようにNiverplastに満足するでしょう。

 

これはいわゆる、企業のビジョンであり、存在目的や存在意義、経営理念・パーパスと呼ばれるものを表現していると感じました。

顧客に対してどういう価値を提供しているのかが明確で、この目的のために、ここの社員は集い、一緒に仕事をしています。

 

顧客に向けた存在目的を、私たちの情熱と表現してプレゼンテーションが始まるあたり、ぐっと引き込まれました。

そして、現在顧客の9割は海外と言います。最大の競合はベルギーにあるそうです。Niverplastは、営業だけでなく、エンジニアも誰でも顧客と話をし、顧客との関係性はまるでフレンドのようだと言います。

 

その後プレゼンは、創業から今までのビジネスの変遷の話があった後、組織運営のポリシーについてありました。

 

私たちは、管理職がいません。すべてオープンで透明です。など、セムコ社と同じような思想が並びます。(詳しくは後編で)

顧客に価値を届けることが目的であり、その目的を最適に届ける手段として組織形態がある!

 

別で訪れたABN銀行のツアーでも感じましたが、
自己組織化や自立分散型と呼ばれる組織形態は「目的ではなく、手段である」と改めて思いました。

 

組織形態の変革をサポートするプログラムを提供していると、組織の形がどうあることがよいのか?という視点になりがちです。

ここは最大の注意点だと思いました。

 

私たちは顧客にどんな価値を届けたいのか?が先にあり、それを届ける組織はどうあると最も自立的に顧客に価値を提供するようになるのか?と発想することが何より大切であると思いました。

 

「顧客価値の最大化を組織形態で支える」

 

これを肝に命じておこうと思いました。

 

Niverplastの組織形態の思想については、後編に続く

 

ライター:Yusuke Nagai

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